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マンガの中の鍼灸 その8 ~てんじんさん -明治鍼灸見立帳-~

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 マンガの中の鍼灸。今日はだいぶ珍しい鍼灸師が主人公のマンガ「てんじんさん -明治鍼灸見立帳-」です。

てんじんさん -明治鍼灸見立帳- 1巻 表紙

 

 WEEKLY漫画アクションで2002~2003年に連載されていた作品。時代は明治の中頃。西洋医学が主流になろうとする時代に、かつて医師としてドイツに渡りそこで西洋医学の限界を知り、その後日本に戻り鍼灸師として町の人達を治療する鍼灸師てんじんさん(竹松)が主人公。

 

 てんじんさんが町の往来で腹痛に苦しむ少年を治療する場面を西洋医学の医者の嫡男である孝太郎が目撃したところから物語が始まります。

てんじんさん -明治鍼灸見立帳- 1巻 P.17,19

 

 お供え物を食べちゃった少年の中脘(ちゅうかん)と足三里に爪楊枝で接触鍼をして治してあげます。

 

 このシーンは2016年に行われました世界鍼灸学会東京大会でも使わせていただきました。

 

 まぁこんな感じでいろいろ事情を抱えた人たちがてんじんさんの元へ現れ、身体も心も治療されていく、痛快ハートウォーミング鍼灸マンガです(笑)

 

 

 作中の治療で使った経穴の解説など場所もしっかりと示してあって、言うちゃあなんですが他の鍼灸が出てくるマンガの描写と比べてかなり的確に描かれてます。

 

 中でもあたしが個人的に好きなやつは、2巻の喘息に対する治療のシーン。

てんじんさん -明治鍼灸見立帳- 2巻 P.218-219

 

 天突にそんな風に刺すの!?すげーなこれ。めっちゃ刺すのコワい。まぁ角度と深さ間違わんかったら大丈夫やけど。て初めて読んだ時思いました。

 

 実際患者さんにはやったことないですけど、この春の時期とかにたまに変な咳がちょいちょい出るんですが、この鍼を刺す感じで自分で天突を胸骨に向けて押すと、咳止まるんですよ。みなさんも咳出たらやってみてください。

 

 しかし、やはりマンガで鍼となるとこーいうシーンもあったり、

てんじんさん  -明治鍼灸見立帳- 1巻 P72-73

 

 こんな感じで人を眠らせちゃったりね。

 

 あと、これは誤植なのかなんなのか?ですが、

てんじんさん  -明治鍼灸見立帳- 2巻 P29

 

 「ダウバーソ」て(笑)

 

 正しくは「ダウバー「ン」」です。

 てか明治の頃にはもうダウバーン症状(徴候)てあったんですかね?

 

 

 てんじんさんで出てくる鍼のやり方は鍼管を使わない撚鍼法です。

てんじんさん  -明治鍼灸見立帳- 1巻 P75

 

 時代的にもまだこっちが主流だったと思います。治療する疾患も、腰痛や食あたり、神経痛やEDなど様々な症状に対して治療をしています。

 

 

 ストーリーの後半は孝太郎が主役です。父が行なう西洋医学とてんじんさんが行なう東洋医学、どちらが正しいのか?自分の医者として進むべき道は何なのか?と悩みながらも前に進む成長記でもあります。

 

 まぁてんじんさんが作中でも言うてますが、洋の東西なんて関係ない、とにかく患者さんが治ればいいんですよ。それぞれ得意な範囲が違うんやし。

 

 自分は鍼灸師としてどうあるべきか?てのを考えさせられるので、若い学生とか鍼灸師なりたての人達に読んでほしいですね。

 

 

 しかしこの作品、全3巻ですが数が少ないようで手に入りにくいようです。あたしはネットで手に入れましたが、中古でもほぼ定価に近い値段でないと手に入らないようですね。タイミングがよかったのか、あたしは3冊780円+送料で手に入れてました。1、3巻は帯付きで状態も悪くないし。良い買い物でした(笑)

 

 古本屋で現物が売ってるのを見かけたのは1回だけですね。秋葉原のブックオフだったと思いますが。

 

 興味がある方は探してみてください。


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